泉のほとりと版画
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●なにか新しさを…
 この本を聖書日課の形にまとめようということは、最初から決まっていましたので、せめてブックデザインでは、何か今までにない試みができないかを考えていました。
  最初、365編の御言葉を選ぶ編集の段階でも、これだけのボリュームのある本だから、それを生かした方法があるのではと、ない知恵をしぼり出しました。
  最初に思ったことは、1箇月31編を印刷の2折り分(32ページ)との共通 性で生かせば、コスト面からもうまく行くのではとのひらめきでした。

●リタージカルカラー…
 以前仕事で、フラワーデザイン向けの小事典を装丁した時、章ごとに印刷の刷り色を変えてつくったことがあり、この本も中のページで色を変えるという発想はすぐに思いつきましたが、何の意味合いなく色がクルクルと変わるのでは御言葉との関連がまったくなくなってしまいます。
  悩んだ末にたどり着いたのが、礼拝色である「リタージカルカラー」でした。これなら礼拝説教としてのメッセージとブックデザインの方向性がピッタリ来ます。
  実を言うと、印刷の折りの基本が、16ページ×2折り=32、と毎月の御言葉31日+章とびら=32、というこの数字、それに「リタージカルカラー」が結びついた時、私は少なからず見えない力が働いたのではないかと、ゾクッしたものです。
  下の写真は年1回の品川教会・ペンテコステ礼拝(第一礼拝)のもの。燃えるような真っ赤なリタージカルカラーが、聖歌隊の衣装など、あちらこちらに配色されてとても印象的です。

●色を決める…
 典礼色をあらためて見てみると、これをソックリ本の中味に当てはめるのは難しいな、と思いましたが、実際の礼拝で語られたメッセージの本→礼拝典礼色のリタージカルカラー=という面 で言うと、ブックデザイン的な、ひとつ芯の通ったものが貫かれることで、本自体がキリリと引き締まるのではないかと考えました。ただ、実作業では色選びに苦心しました。それにしても、ペンテコステの「赤」は1年でたった1回の主日のみ、イースターやアドベントの時の「白」など、どうしたらいいか迷ってしまいました。
  こんなとき、最近行き着くのは、広い視野(神さまの視点のように、と私が勝手に解釈)で考えよう、というもの。ペンテコステも毎年その日は変わるのだから、5月の色を「赤」に決定、また、白色は白のオペークインキ(不透明インキ)で刷る、というのもチラッと頭をよぎりましたが、白は本の用紙がもともと白なのだから、刷り色は無彩 色のスミにしてと、なんとか理由づけをしてしまいました。

1月=白色(スミ)  
2月・3月=紫色  
4月=白色(スミ)  
5月=赤色  
6月〜11月=緑色  
12月=紫色  

 
 と4つのリタージカルカラー的な中味の本になりました。実際の印刷色は読みやすいように、色校正を重ねながら、落ち着いた色調にして、365日のメッセージを助けるような、あまり色が主張しないようにしました。最初(目次など)と最後(索引など)の2折り32ページはグレーに近いうす茶系の色で仕上げ、なんとか落ち着きました。
  またこの本のビジュアル面で使用した版画については別のページに書きますので、そちらをご覧ください。(装丁・杉田博記)